産前産後養生
産前産後養生〜子育て
世界の産後ケアと、中国・韓国・日本で根付いた産前産後の養生法
日本を含む近隣のアジア(中国・韓国など)において、産前産後の過ごし方の知恵は、その後の女性の生涯の健康に大切なものであるとして脈々と受け継がれてきました。
中医学(大病に至る前の日常の健康のメンテナンスや体質改善などを目的に、古人の実践の積み重ねから体系化された2000年以上の歴史がある伝統医学)では、その必要性がしっかりと記されています。
現代も、近隣の韓国や台湾では、出産後は1ヶ月近く、専用の産後施設で過ごすことが一般的です。
もちろん、産後の回復の時間をとる必要性はアジア諸国だけでなく、世界共通の認識ですが、特に我々の祖先は、起き上がり方や食べ物の取り方、身体の動かし方や、得意な動き(持久的な力や農作業などの繰り返しの動きに適した骨格)を受け入れながら人から人へ伝承していったことが伺えます(祖母から「産後は床上げまで大事にして」と言われる、など)。最近の研究では、西洋人と東洋人の体質や体格(骨盤の大きさや深さ)の違い、筋肉のつき方も違うことがわかってきていますので、その整合性に納得できます。
一方、女性が社会で活躍しやすい環境にある欧米諸国では、さまざまな問題はありつつも、産後・子育てのサポート体制が企業や国で確保されていたり、性別分業などの制限が起きないような社会通念が、我が国よりも早いスピードで整備が行われています。
例えば、欧州各国では、「パーソナル助産師制度」と言って、妊娠・出産・産後を同じ助産師がケアを行う地域医療体系が存在します。
これにより母親や家族との信頼関係が深まり、出産の医療的介入も減らすことができると評価されており、世界的にもニーズが広まりつつあります。
産後、まずはしっかりと自分の心身を整え、地域の中で交わり子を育てる
日本は、実は世界的にみると、「子育て支援制度」は整っているものの、その制度をうまく活用しきれていない現状があります(韓国も同様と言われています)。
背景には、独特の社会通念(性別分業的慣習、男性は〇〇すべき、理想の女性像は〇〇など)が人々の意識の根底に強く残り、時代に応じた意識の変革がゆっくりで、ネガティブな部分も含めて世代を超えて受け継がれていることが指摘されています。
また、子育てには、人類の歴史的にも社会全体での養育(地域をはじめ、あらゆる人々との交わりと協力の中で育てること)が必要であることがわかっています。
しかし、戦後に家族形態が急速に変化(大家族から核家族、高齢化)し、子どもの親である当人達だけで家事育児の身体的・精神的負担を抱えてしまう状況が加速してしまった現状では、地域や企業・園や学校(もちろんA Iも)もフォローが間に合わない事態です。
現代の家族形態でまかなえないものを、家族を超えた地域や企業、教育で補っていく必要があり、それに私たち専門家のサポートも柔軟に対応していくことが急務なのです。
我々が生きてきた地域ではどのように命を繋いできたか、どのような建物に住んで衣服を着て、どのように身体を使ってきたか(身体特性)、、、
これらは、人の手から手、人同士の交わりによってこそ伝えられます。
そして、子育てを社会や地域や企業を含めた「周囲の人」にしっかり頼ることを、頼る側も頼られる側も当たり前に意識できることが大切です。
制度を活用する利用者(母)が、必要な時に自分の意志で環境を整え、しっかり心身をケアし、自ら持っている力が発揮されることで、より健やかに美しく年を重ねていくことにも繋がります。
助産師は、人類最古の職業・産婆(とりあげババとも呼ばれていた)の末裔と言われています。産婆は昔から人間のコミュニティーの中にいて、子育てと女性の一生に寄り添い、見守る存在だったと言われています。
長くなりましたが、産後養生期〜子育ての基礎の時期の関わりを大切にしている理由を説明させていただきました。
私自身も、時代の変化に応じたしなやかなサポーター役でありたい、と思っております。
ぜひご活用ください。